心筋梗塞について

心筋梗塞は、心臓への血の流れが塞がれることで起きます。もっとも多いのは、脂質、コレステロールや、他の物質の冠動脈への蓄積に起因します。血流の妨害は心筋への損傷を与えます。心筋梗塞、つまり心臓発作(MI)は致死的です。心筋梗塞のリスク要因には、環境因子と遺伝子因子の両方が存在します。

心筋梗塞の際、これらの蓄積物は破裂し、コレステロールや、他の物質が血流へ流出します。血栓は破裂を起こした部位にて発生します。血栓が十分大きい場合、冠動脈への血流を完全に止めてしまいます。


Rainbow Myocardial Infarction Risk Assessment™ Test

心筋梗塞検査

Rainbow Myocardial Infarction Risk Assessment™ Testでは、染色体9p21に存在する2つのリスクマーカーの遺伝子型を検討します。この2つの一塩基遺伝子多型、つまりSNPは、心筋梗塞(心臓発作)、および冠動脈心疾患の発生リスクの上昇に寄与します。リスクの寄与は、20の人種、20,000名の心筋梗塞患者と40,000名の対照者で確認されています(5,000名の日本人、中国人、韓国人および他の東アジア人を含みます)。

これらの人口寄与遺伝的リスクは、家族歴や従来の糖尿病、高血圧症、コレステロール、肥満など危険因子とは独立していることが判明しています。これらのマーカのリスクに対する寄与度は高くはありませんが、人口寄与リスクは、対象変異の保有者の割合が高いため、かなりあります。リスクアセスメントの結果を知ることは、疾患の早期予防に繋がります。


心房細動について

心房細動(AF)とは、心拍率が不整で、主に早く、発作、心不全、他の心臓に関わる合併症のリスクを上昇させます。

心房細動では、心臓の2つの上部小室(心房)の鼓動は無秩序で、不規則です。これは下部2つの小室(心室)との連携が取れていない状態です。上部小室(心房)は、無秩序な電気信号を受けとります。その結果、震えます。房室結節、つまり心房と心室間の刺激伝導系は、心室に抜けていく強い衝撃を受けます。心房細動の症状として、心臓の動悸や息切れなどがあります。

その結果、心臓の鼓動は早くなり、かつ乱れます。心房細動中の心拍は、1分当たり100から175になります。一般的な心拍は、1分当たり60から100回です。

心房細動は散発的に発生し、場合によっては治療が必要なほど慢性的にもなります。心房細動自体は命を脅かすものではないにしろ、健康状態としては緊急に治療が必要な場合もあります。

心房細動は心臓での血栓の形成に繋がり、他の臓器に循環し、血管の詰まり(血流不全)となることもあります。


Rainbow Atrial Fibrillation Risk Assessment™ Test

心房細動検査

全ゲノム相関解析により、染色体4q25付近に存在する転写制御因子PITX2の解明に成功しました。PITX2は、肺静脈、心筋繊維の発達、及び左心室における洞結節の発達に関連する転写制御因子をコードしています。10,000名の患者と30,000名の対照者の研究と、それに続く数々の研究により、4q25におけるリスク相関は白色人種、日本人、中国人、韓国人にて確認されています。

この検査では、PITX2遺伝子付近に存在する2つのSNPを検査し、リスクアレルの有無を確認します。いずれかの領域におけるこのリスクアレルの保有者は、そうでない人に比べて高いAFの罹患リスクを持ちます。


検査内容

検査は、Rainbow認定クリニックに診察を受けに来るところからはじまります。受検者へのテスト発注はクリニックにて行われます。DNAは、Sangerシーケンシング手法を用いて、ABI 3730 DNA シーケンシングシステムを持つCAP(College of AmericanPathologists;米国病理学会)認定、CLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendment;臨床検査改善修正法案)認定のラボにてシーケンシングされます。

データ解析は、日本の順天堂大学の臨床およびバイオインフォマティクスチームによって行われます。各人種特有のアレル頻度や、生涯リスクに関する幾つもの研究に基づき、我々のチームでは、受検者の人種特有のそれぞれの健康状態について、関連するSNPのジェノタイプごとのリスクレベルを検討します。医師レポートは、日本の順天堂大学医学主任によって発行されます。



参考文献

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医師の発注が必要な検査です